刻印づけの意味
刻印づけ (imprinting) とは、行動生態学者のローレンツ (Lorenz) によって発見された、鳥類などの一部の生物に見られる初期学習の一つである。初期学習とは、出生直後の時期の経験が成長後の行動に影響を及ぼすという現象全般の事を指し、中でも刻印づけは、生まれたてのヒナが動くものに追従する経験をすると、成長後もその対象への追従が持続するという現象を指す。刻印づけは、一度追従の対象が決まると他の対象に変更する再学習が起こらない。例えば、生まれたてのヒナが歩いている人間に追従する経験をすると、成長後も人間の後を追従するようになる。
初期学習が成立するには時間的な条件があり、生後一定の期間に正常な刺激が与えられなければ、その後に同様の刺激を与えても成長後の行動に影響は見られない。例えば刻印づけは、生後16時間前後に最も強く起こり、生後30時間程を過ぎると起こらなくなる。この一定の期間の事を臨界期と呼ぶ。
例文
・刻印づけは、刷り込みとも呼ばれている。
・通常、ヒナの刻印づけの対象は親鳥である。
・刻印づけによって親鳥に追従することで、ヒナは安全と食事を得ることができる。
・哺乳類には、刻印づけのような短時間での初期学習は見られない。